ポリオワクチンQ&A2011年10月29日 11時24分06秒

ポリオワクチン:ここが知りたい

 急性灰白髄炎(いわゆる小児まひ)を防ぐポリオワクチンで、現行の生ワクチンに副作用の恐れがあるとして接種を控える動きが広がっている。集団感染を恐れる国が接種を呼び掛ける中、神奈川県は海外で主流の不活化ワクチンの独自輸入を決め、どうすればよいか迷う人も多い。改めてワクチンの基礎をQ&Aでまとめてみた。【小島正美】

 Q 他県の人が神奈川県で不活化ワクチンを打ってもらうことはできますか。

 A 神奈川県は5カ所の県保健福祉事務所で希望者に有料(約5000~6000円)で接種しますが、県民が対象で、県外の人は受けられません(県健康危機管理課)。

 Q では、不活化ワクチンはどこで受けられますか。

 A 患者団体「ポリオの会」によると青森、福島、千葉、東京、大阪、愛知、愛媛、福岡など全国の約170カ所以上の診療所や病院で受けられます。インターネットで「不活化ワクチン接種機関」を検索すれば分かります。自己負担は4回の接種で2万円台が多いようです。

 Q 不活化ワクチンだと副作用の心配はないのでしょうか。

 A どんなワクチンにも副作用はあります。不活化ワクチンは英国、米国など世界約90カ国で使われています。これまでの副作用報告について、最大手メーカーのサノフィパスツールは「承認を得るための臨床試験の最中で、試験中は件数を開示できない」と説明しています。米国の添付文書には注意として「筋肉痛、発熱、アレルギー反応」などの記載があります。約1000万人に1人の割合で、呼吸困難やめまいが生じる重いアレルギー反応の報告もあるようです。斎藤昭彦・新潟大教授は「まれに副作用はあるが、まひを起こすことはない。不活化ワクチンでポリオが発症することはなく、安全性は極めて高い」と話しています。

 Q 生ワクチンでは何人ぐらいポリオを発症していますか。

 A 国が予防接種法に基づき認定した人数は01~10年の10年間で15人です。100万人あたり1~2人で、他のワクチンと比べても、副作用の発症率は極めて低いといえます。

 Q 経済的に余裕のない人は、不活化ワクチンを受けるのが大変です。自治体が助成金を出すことはできないの?

 A その動きはありません。住民から不活化ワクチンへの助成要望を受けた東京都世田谷区は「国が承認していないワクチンに助成金は出せない。問題が生じたときに責任がとれない」と説明しています。

 Q 不活化ワクチンで被害が出たら国は救済してくれますか。

 A 未承認なので国による救済はありません。しかし、国内の医薬品輸入代行業者によると、輸入不活化ワクチンで万が一、死亡した場合は2000万円が支給され、後遺症が出れば補償金が支給される保険がついているそうです。ただし支給の条件として、被害者が裁判を起こし、裁判所が因果関係を認めた場合に限られるという制約があります。

 Q 現行の生ワクチンで副作用が出たら?

 A 生ワクチンは予防接種法に基づき1961年から国の定期接種に組み込まれているので、国の被害救済制度があります。死亡した場合は4280万円の一時金、症状の重い1級の障害が出れば年489万7200円の障害年金が支給されます(表参照)。裁判を起こす必要はなく、国の「疾病・障害認定審査会」が審査して、最終的に厚生労働相が決めます。厳密な因果関係が分からなくても認められるようです。「一般の医薬品の副作用でも救済制度はあるが、国が勧奨する予防接種は特に手厚く救済される制度」(厚労省結核感染症課)になっています。

 Q 不活化ワクチンを早く導入する方法はないの?

 国は早くて12年度末(13年春)の導入と言っており、あと1年半もあります。

 不活化ワクチンを個人輸入して接種している千葉県立佐原病院の松山剛・小児科部長は「国内の臨床試験の承認を2段階に分ければよい」と提案しています。不活化ワクチンは3回接種して約1年後に4回目の接種をしますが、松山さんは「最初の3回分のデータでまず承認すれば、使用を早められる」と勧めています。国産の生ワクチンが余れば、集団流行に備え備蓄すればよいという考えです。厚労省の「不活化ポリオワクチンの円滑な導入に関する検討会」でも迅速な導入を求める声が強く、検討する価値はありそうです。

 Q 乳児を持つ親は結局、今どうすればよいのでしょうか。

 A 斎藤教授は「接種しないのが一番危険だ。周囲から感染する恐れがある。どちらかのワクチンを接種した方がいい」と強調しています。生ワクチンのウイルスは接種後、約1カ月間、便から排せつされます。接種していないと保育園などで接種済みの子供から感染する恐れがあります。さらにいま中国では野生ポリオが発生しています。国が接種を呼び掛けるのは散発的な集団感染を最も恐れているからです。

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 ◇ポリオワクチン

 生きたウイルスを弱毒化した生ワクチン(経口)と殺した不活化ワクチン(注射)がある。日本は生ワクチンを定期接種しているが、まれにポリオが発症するため、今春の全国平均接種率は昨年に比べ約17%減った。政府は12年度末に不活化ワクチンを含む4種混合ワクチンと単剤の不活化ワクチンを導入する計画だ。

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 ■定期予防接種による被害救済

死亡一時金   4280万円

葬祭料     20万1000円

障害年金    1級489万7200円(年額)

        2級391万5600円(年額)

        3級293万7600円(年額)

障害児養育年金 1級153万1200円(年額)

        2級122万5200円(年額)

 ※このほか、通院や入院の医療費にも給付がある。

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